カンボジア国における籾殻発電事業
系統電源が未発達なカンボジアにおいて、ディーゼルオイル主体の独立電力事業者に安価で、操作が容易な、提案者が有するスターリングエンジンを利用した小規模バイオマスシステムを普及させることにより、未電化地域に電力を供給し温室効果ガス(GHG)削減を達成します。
同国の電力供給は、プノンペンおよび都市部に集中し電化率は29%となっています。電力源は輸入が42%と最も多く電力公社(EDC)は15%、独立電力事業者は31%という構成比となっています。今回のプロジェクトの対象マーケットである地方電力事業者(REE)はカンボジア国内電力のうち8%供給しています。REE はディーゼル発電機を使用していますが、石油の価格が高騰、石油燃料の代替効果やそれに伴う経済面および環境面の負荷低減効果が期待されるバイオマス発電へのニーズが非常に高まっています。
籾殻発電にもちいる小型発電システム
これまでのバイオマス発電の方法としてはガス化炉と組み合わせたガスエンジン発電と蒸気ボイラーと組み合わせた蒸気タービン発電システムが用いられてきました。
ガスエンジンはバイオマスをガス化のための設備(リアクター)及びガスの改質装置(タールの除去)が必要となること、また、蒸気タービン発電は一般的な火力発電所と同じ方式であり、バイオマスボイラーから発生するスチームを媒体として発電する方式で大型には適するが小型では効率及びkWhあたりのコストが極端に高くなる課題も生じていました。
カンボジアの国情や経済合理性に鑑みますと、小型でのバイオマス発電のニーズは高いものの、従来の方式は大型のものを想定したコストーベネフィットが適用されているため、あらたにコストパフォーマンスに優れた小型バイオマス発電を同国のニーズに対しての適格性がもとめられてきました。
外燃機関であるスターリングエンジン発電システムはバイオマスの直接燃焼の熱をエンジン内部の気体の膨張・収縮作用によりダイレクトに電気に変換させるシステムであり、前処理プラントやスチームを発生させる設備が不要であり、イニシャルコストを抑えることができるため、当社のプロジェクトとして現地カウンターパートとともに事業を進めております。
スターリングエンジンによるシステムの優位点
- 可搬性が良く、設置が容易。3.5kWh毎にパッケージ化されているので、他の機関のようなプラント建設とは大きく異なり、配管、電気工事で済む。工事期間も短く、工事コストも低コスト。
- メンテナンスが容易。外燃機関のために腐食成分がエンジン内部に接することはなく、また、スターリングエンジン
を構成するパーツはディーゼルエンジンに比べて1/3 以下の数である。作業としては定期的なエンジンメンテナンス及び受熱部の煤のクリーニング。 - 内燃機関ではないため、爆発音がなく、静粛性が高い。
- 3.5kWh~100kWh まで、出力のカスタマイズが自由。バイオマス発電特有の故障、メンテナンスリスクにも対応。1ユニット3.5kWh で、1 システムは複数ユニットで構成される。そのため、設置場所毎に供給可能なバイオマス(籾殻等)量によって、単純に台数の増減によりシステムの出力をカスタマイズできる。1 台が故障した際、またはメンテナンスの際にも全体を停止する必要がなく、安定した運転が可能になり、バイオマス特有の不安定リスクを分散することが出来る。ユニットは同一のため、量産効果によるコスト低減が見込める。