スターリングエンジンの基本性質と原理(解説)
スターリングエンジンは、密閉したシリンダの外側から熱(高温・低温)を加え、空気の膨張・収縮(圧力変化)を利用してピストンを動かすエンジンです。外側から熱を加えて動くため「外燃機関」と呼ばれます。石炭で動く蒸気機関も外燃機関のひとつです。
一般的にエンジンと言って思い浮かべるのは、ガソリン・軽油をエンジン内部で爆発させて動く「内燃機関」ですが、それと比べ外燃機関では燃料を爆発させる必要がなく外部からの加熱で作動します。様々なものを燃やして、またいままで利用されていなかった排熱のうちエンジニアリングの限界により用いられなかった排熱も、設計に柔軟性を持っているスターリングエンジンなら電力や運動エネルギーに変換することが可能です。
スターリングエンジンによる発電システムの特長
熱源を選ばない 外燃機関 | エンジン外部から「熱」を受けて稼動する外燃機関。 エンジン内部で燃料を燃やして作動する内燃機関と違って作動に燃料を選ばず、様々な熱源を使用するシステムが製造可能。 |
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様々な燃料を 使用可能 | 1. ガス(天然ガス、都市ガス、農業残渣由来メタン等) 2. 油(灯油、A~C重油、 廃油、廃食油、可燃性溶剤、廃ペンキ等) 3. バイオマス 4. 焼却炉ほか熱源施設の排熱/廃熱 |
コジェネレーション への応用が可能 | 熱から電気と温水を供給可能です。 |
外燃機関のため 排気ガスがクリーン | スターリングエンジンは爆発工程を必要としない外燃機関のため、NOx等の発生も極めて低くクリーンな排ガスです。 |
低回転数と 高い静粛性 | スターリングエンジンは、回転数が低く爆発音を発生させないため、きわめて静かに作動します。 |
プロマテリアルは、上記の用途のうち、焼却炉や焼成炉の排熱を利用し発電する「排熱利用システム」、バイオマスエネルギーを活用した「バイオマス発電システム」、太陽光をレンズで集め発電する「太陽熱発電システム」をメインに開発を進めております。
スターリングエンジンの作動原理
「熱による空気の膨張・収縮」を実現するために、密閉したシリンダーの前後に加熱部と冷却部があり、気体または熱交換機による熱のやりとりが行われています。 前方の大きなピストンは高温部と低温部を仕切る「ディスプレイサー」。後ろの小さなピストンが力を伝える「パワーピストン」です。 | |
工程(1) シリンダーの外部から熱を与えると、膨張した空気の圧力がパワーピストンに加わり、押し下げます。 (ディスプレイサーが動き、高温側が広くなっていきます。パワーピストンに圧力が加わります。) | |
工程(2) 高温側が最大になると温度が低下。位相が変わり、低温側が広くなっていきます。 (パワーピストンが上昇する位相になると、広くなった高温部に冷たい空気がディスプレイサーの隙間を通って流れ込みます) | |
工程(3) 高温部が冷却されたため気体の収縮が起こり、先程と逆向きの圧力が加わります。 | |
工程(4) 低温側が最大になると、再度位相が変わり、高温側が広くなる膨張の段階へ。 再び工程(1)へ戻ります。 |